地元の酒を、より深く美味しく楽しんでいただきたい。
さらには、その酒の背景にあるストーリーさえも肴にして楽しんでいただきたい。
1991年、我々は『熟成酒(貯蔵酒)』を実行することにしました。
酒の熟成貯蔵に最適である生野銀山坑道内に貯蔵庫を設置しました。
10年20年の熟成古酒を目指すのではなく、生野銀山坑道内の環境を利用し、
短中期間の後熟を施し、元の酒質の個性を損なわないように、
そのうえでさらに熟成感を楽しんでいただきたく、熟成を促す為に、
本来のスクリューキャップではなく、ワイン同様、コルクを打栓したボトルで瓶熟させました。
坑道に貯蔵する日本酒は、
①播磨エリア界隈の酒蔵で造られたもの ②吟醸クラス、大吟醸クラスのもの
③地域特産米を除き原則山田錦に限る、としました。
1990年代初頭、当時の姫路の酒場には、今では考えられないほど、地元の地酒が置かれていませんでした。「安心のナショナルブランド」や「知名度の高い他県の地酒」がメニューに並んでおり、「これほど素晴らしい地酒が姫路にはあるのに、地元がこのままではいけない。」と強く想いました。
さらに、当時は現在ほど姫路の観光業が盛んではなく、お城を巡りに姫路に来られた観光客も、観光プランや定番の土産物など、スマホの無い時代には限られた情報しか持てない状態でした。
姫路が誇る地産品。「姫路には地酒があるじゃないか。」
そう思い立ち、酒蔵とは違った立場である我々酒販店に出来る事はないか?と考えた末、地酒に「エルデベルグ独自の“オリジナリティ”と、播州姫路の“地域性”を兼ね備えたモノを生み出そう!」と生野銀山坑道内貯蔵酒『岳』の開発に至りました。
『岳の誘惑』
我が国固有の『岳』という言葉に私は深い憧憬と魅惑を感ずるものである。